- ■ 犬の歯周病とは?
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3歳以上のワンちゃん、ネコちゃんの80%以上が歯周病(歯肉炎と歯周炎)であると言われています。
単に歯石が付くと歯周病になるというわけではなく、
口腔内細菌が歯周ポケットから入り込むことで歯根と歯を支える骨(歯槽骨:しそうこつ)が溶けてしまうことで起こる病気です。
歯周病は軽視されやすいですが、ひどくなると「歯が抜けたり(抜歯)、目の下に穴が空いたり(歯槽骨膜炎)、
心臓の内側を覆ている心内膜での炎症(心内膜炎)、口の中の細菌が全身へまわり、心臓・腎臓・肝臓」などの
病気を引き起こします。
「たかが」と思わずにしっかり知っておくことが大切です。
- ■ こんな症状ありませんか?
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<症状>
- お口の臭いがきつい
- 歯ぎしりをしている
- よだれの量が多くなった
- 口を触られることを嫌がる
- 歯に歯石がついている
- 食べ物を食べるときに痛がる
- ご飯を進んで食べなくなった
- 頭を傾けて片方の歯で食べている
- 歯茎が腫れている
- 歯茎から血が出ているくしゃみや鼻水がよく出ている などの症状が見受けられます。
これらの症状が見受けられた場合は動物病院を受診することをおすすめいたします。
- ■ 歯周病の治療法は?
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当院では全身麻酔下のもと、歯にこびりついた歯石を除去していきます。
歯周病が軽度の場合は付着した歯垢や歯石を除去するだけで済みますが、
重度の歯周病になると抜歯や歯肉の縫合が必要になります。
ここから先は実際の症例をご紹介しております。
画像を載せておりますので、苦手な方はご遠慮ください。
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実際の症例をご紹介
- 【症例1.】:チワワ 男の子(去勢済) 13歳
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<治療の流れ>
全身麻酔をした後、プローブやキュレット、スケーラーなどの器具を用いて歯をきれいにしていきます。
最後にポリッシングという器具で歯を磨きます。
抜歯が必要な際はエレベーター、抜歯鉗子といった器具を用いて抜歯します。
抜歯後は抜歯痕の大きさに応じて歯肉の縫合を行います。
痛みを管理するための痛み止めや、細菌感染をコントロールするための抗生剤の投与を行うこともあります。
<症例の詳細>
歯石が歯にかなりついています。
小さい頃からお口に触りなれていないと、飼い主さんでもなかなか口の中まで見ることは難しいので、
写真のような子は少なくありません。
まとめ
ワンちゃん・ネコちゃんのほとんどが歯周病にかかると言われていますが、
軽視されることが多く、悪化してから病院を受診する飼い主様も少なくありません。
歯周病が悪化すると、抜歯したり、口の中の細菌が全身へまわり、心臓・腎臓・肝臓などの病気を引き起こします。
「たかが」と思わずにしっかり知っておくことが愛犬・愛猫の命を守るカギとなります。
また、歯石を取った後は、歯石をつけないように予防することが大切です。
スプレー方式のものやご飯に混ぜることにより歯石の付着を抑えるものもあります。
何もしなければ、せっかく歯石をとっても2~3年後には同じようになってしまいますので、
どれを使ったらいいか分からない場合は当院までご相談ください。