あなたの愛犬や愛猫が下記の症状を示している可能性はありませんか?
愛犬や愛猫にこれらの症状が見られる場合、消化器系に影響を与える病気の可能性があります。
![犬](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-gastro-01.jpg)
こんな症状が気になったことはありませんか?
- 食欲がない
- よだれを垂らしながら食べ物を持ち出す
- 吐きそうな様子だが、よだれを垂らしているだけである
- 吐いた後にぐったりしている
- 下痢が続く
- 血便が出る
- 体重が減少する
消化器系の病気では「なんとなく元気がない」といったあいまいな症状が出る場合があります。
またワンちゃん、猫ちゃんは普段からよく吐いてしまうものですから、
「いつものことか」と思うかもしれません。
しかし消化器系の種類は多く、大きな病気が潜んでいるかもしれません。
不調を訴えることができない犬や猫の病気に関する些細な心配事でもいいので、ご相談ください。
![院長イラスト](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/illust-01.png)
消化器官系の病気について
「消化器系」とは、食べ物を飲み込んでから体外に排出するまでに分解する役割を持つ臓器の集合体を指します。
食道、胃、腸などの臓器が含まれます。
消化器系の病気は、不安、食べ過ぎ、周囲の環境の変化など、さまざまなことが原因で引き起こされる可能性があります。
症状の重さは、軽いものから命にかかわるものまで様々ですので、いつもと違うことがあったら、できるだけ早く動物病院にご来院してください。
比較的よくみられる消化器官系の病気
膵炎
症状としては嘔吐、下痢、腹痛が多いです。
犬は明らかに腹痛が強く、その結果、背中を丸めたような姿勢をとることがあります。
重症化すると、呼吸困難やショックなどの症状が現れることもあります。
炎症性腸疾患
炎症性腸疾患は、特発性(原因不明)の腸炎であり、軟便になります。
また、腸から蛋白が漏れ出してしまうため、体重が減少するのが特徴です。
病気が進行すると、お腹に水がたまる可能性もあります。
大腸炎
軟便になり、便に血液や粘液が混ざるのが特徴です。
小腸の吸収不良
小腸の吸収不良は、小腸が炎症を起こし、栄養を吸収できなくなったときに起こります。
水様性下痢といってお水のような便になります。嘔吐や食欲不振も見られます。
消化器科の評価・診断に関する内容
消化器疾患の診断のために行われる主な検査は以下のとおりです。
初診時
まず最初に、総合的な問診があり、その後、一般的な身体検査が行われます。
動物の症状、種類、年齢、既往歴などをお聞かせください。
また、吐き気や下痢などの症状がいつから始まったのか、正確に把握することが重要です。
ペットの健康状態を把握した上で、どのような検査が必要かを判断します。
![診察中の犬](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-gastro-02.jpg)
便の検査
消化や出血の兆候を確認できるよう、便の検査を行います。
炎症、細菌感染、寄生虫などもここで調べることができます。
![便の検査](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-gastro-03.jpg)
画像検査
腹部の内部を確認するために、画像検査を行います。
臓器の大きさや形に異常がないか、異物を飲み込んでいないかなどを調べます。
X線検査、バリウムを投与する場合もあります。
![画像検査](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-gastro-04.jpg)
血液検査
蛋白に異常がないか、肝機能の異常、膵炎など炎症の有無、貧血の有無を調べます。
![血液検査風景](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-gastro-05.jpg)
内視鏡検査
内視鏡検査では、胃や腸の状態を直接観察することができます。
ポリープや異物を取り除くために胃を切らずにすみます。入院の必要がないため、犬や猫に対する負担が少なくなります。
![内視鏡検査](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-gastro-06.jpg)
消化器疾患の治療
消化器疾患は、一般的に内科的な治療が第一となります。
その日の体調や年齢、などを考慮し最終的に判断することになります。
少しでも心配なことがあれば、できる限り早く動物病院にご来院ください。病気の発見が早ければ早いほど、治療が成功しやすくなります。
内科的な治療
嘔吐や下痢は、消化器系に影響を及ぼす病気によって引き起こされる、一般的な症状です。これらの症状は、内科的に管理することができます。
- 胃酸の分泌を抑制する薬
- 食物を消化し、栄養を吸収する
- 身体の自然な能力を高める薬物療法
- 消化管(胃と腸の両方)の細菌を除去する薬(抗生物質)
- 吐き気を抑える薬
![診察中のねこ](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-gastro-07.jpg)
上記の投薬、食事内容の変更、サプリメントの追加などを行い、症状の改善を見ます。
症状が改善されれば、服用する薬の量を徐々に減らしていきます。
手術療法
犬や猫などのペットは、本来摂取してはいけないものを誤飲してしまうことがあります。
ほんの一例を挙げると、小さなおもちゃや紐、プラスチックの破片などを見つけてしまうことがあります。
それが胃の中に留まると嘔吐し、長時間留まると血流が止まり、ショック状態になる可能性があります。
![ペットの誤飲](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-gastro-08.jpg)
できるだけ早く異物を除去することが重要ですが、異物の位置や種類によって除去の方法が変わってきます。
内視鏡で摘出できない場合は、腹部を切開し、そこから異物を摘出します。
異物を取り除いた後は、ほとんどの場合、症状が急速に改善し始めます。
消化器疾患の症例
柴犬石誤嚥
2022.01.22
石を飲んでしまったワンちゃんが来ました。(柴犬)
何度か吐いてしまい、その中に石が混じっていたとのこと。食欲もなくまだ石が残っているのか心配です。
胃の中に異物がある場合、吐かせることによって出すことができますが、吐けなかったり、腸の方まで異物が流れてしまうと、詰まってしまうことがあります。流れてうんちと一緒に出てしまえば大丈夫なのですが、大きさによって途中で詰まってしまうと手術することになってしまいます。
今回はレントゲンで石が入っていないことを確認できました。
![犬石の誤飲](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-case-gastro-07.jpg)
M.ダックス石誤嚥
こちらは以前別のワンちゃんで石が入っていた子のレントゲンです。
![犬の石誤飲](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-case-gastro-08.jpg)
![犬の石誤飲](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-case-gastro-09.jpg)
飼い主さんはお散歩中や、お部屋の中の下に置いてある物に十分気をつけてくださいね。(石以外でも誤嚥は多いです。)
トイプードル異物誤嚥
トイプードル7カ月オス
嘔吐、下痢にて来院。
吐き気止め、下痢止めの注射をしたが、食欲戻らずバリウム検査したところ、消化管に閉塞を認めたため、開腹手術を行った。
小腸部に異物があり摘出。異物は約10cm位あるものだった。(髪の毛、ゴム、ゴミなどが絡まった物)
手術後、次の日より退院。元気、食欲回復。
![犬の異物誤飲](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-case-gastro-01.jpg)
![犬の異物誤飲](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-case-gastro-02.jpg)
![誤飲した異物摘出](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-case-gastro-03.jpg)
ワンちゃん金具誤嚥
金具を誤嚥したワンちゃんです。胃の切開を行い金具を取り出しました。
![犬の金具誤飲](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-case-gastro-05.jpg)
![犬の金具誤飲](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-case-gastro-06.jpg)
![誤飲した金具摘出](https://pia-ahp.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/pic-case-gastro-04.jpg)